慧の携帯が鳴った。
わりぃ、と言って電話に出る慧。
「はい、松田です。」
会社からか?
いつもより真面目な慧の態度に会社からの電話だと察した。
電話を終えた慧は、
申し訳なさそうな顔で戻ってきた。
「わりぃ、仕事でトラブルがあったらしくて今から会社行かなきゃなんねえ。」
ま、しょうがねえか。
「そっか、大変だな。頑張れよ。
香林は俺が送って行くから安心しろ。」
「おお、そっか。ありがとな。
香林ごめんな、せっかく会えたのに。」
慧が香林に優しく言う。
「ううん、仕事だから仕方ないよ。
家でご飯作ってまってるね。」
そういう2人の間には
凄く暖かいものが感じられた。
俺も菜奈とそうなりてぇな。
……なれるかな。
「じゃ、俺行くな。
また今度埋め合わせするから!」
そう言って慧は店を出て走っていった。

