暫くして、啓悟も到着。
香織も泣きやみ、俺たちは扉が開くのをひたすら待つ。
ーーガラガラガラ
「もぅ大丈夫ですよ。」
稚己の病室から先生が出てきて、俺らの面会を許してくれた。
「稚…己…。」
「は…き。」
掠れたか細い声で俺の名前を呼ぶ稚己を、ギュッと抱きしめた。
「稚己ちゃん。お帰りなさい。」
さっきまで泣いてた癖に、俺を押しのけて稚己を抱きしめる。
「か…りさ…。」
「あーん!やだ〜!また涙でる〜!」
そう言ってまた俺の服に涙と鼻水を擦り付けにくる香織。
「稚己ちゃん。余計なことしてごめんね。」
最後は、啓悟が抱きしめた。
「け…ごさ…。」
モヤモヤするけど…今日は特別許してやる。
ホントに稚己…おかえり。
稚己は掠れた声で子供のように泣きじゃくった。
どんなに感情が豊かになったとはいえ、俺たちの前で決して泣いたことは無かった稚己が…今日初めて俺たちの前で涙を見せた。
「み"ん"だ…あ"じがどぉ"〜」
初めて見た稚己の泣き顔は酷く不細工で…でもそれを笑顔に変える役目が俺ならな…なんて。