腕をギュッと握りしめていると、指先がピクッと動いた。
俺は一瞬も見逃さなかった。
「か…香織…。ナースコール…。」
「え?なに?」
「稚己が…稚己が帰ってきた。」
「嘘!?」
気のせいかもしれない。
もしかしたらその1度だけで、また眠ってしまうかもしれない。
でも…。
「橘さん?聞こえますかー?」
聞こえてると言ってるように、俺の手を弱々しくキュッとつぼむ稚己。
ゆっくりと…瞼が開かれる。
先生たちも抱きい喜んで、涙する香織を俺は抱きしめる。
稚己…お前は愛されるよ。
この人生…俺がお前を幸せにする。
暫く検査に入り俺たちは追い出された。
隣ではまだ泣いてる香織。
俺は啓悟に直ぐ電話を入れた。
「啓悟!稚己が…帰ってきた!」
『わ…わかっかった。今から向かう。』
落ち着いてるように見えて噛みっ噛みの啓悟。
ホントに心配してくれてたんだな。
アイツが取り乱すなんて珍しい。