次に着いたのは、美容室。
「香織。」
美容室に入れば、美人の女の人に声をかける遥斗。
ナンパも手馴れてるね…。
なんて思いながら、扉の前で立ち尽くす。
「あれ、遥斗。なんでここにいんの?」
なーんだ。
ナンパじゃなかった。
2人は私をおいて、先々と会話を進める。
「なるほどね〜!任せて〜!!腕がなるうううう!」
「じゃぁよろしく。稚己こっちおいで。」
手招きをされ、ようやく席につく。
私のカットの間に、必要最低限なものは買ってきてくれるらしい。
香織さんが私の前髪をジョキジョキと切り落としていく。
私の前がみは目にかかるくらいまで伸びていて、なんと…
「じゃじゃーん♪オン眉にしてみました〜♡」
「はい…。」
それからもチョキチョキと心地のよりリズミカルなハサミの音が続く。
「ねぇ〜稚己ちゃん。遥斗のさ…コレ?」
と小指を立てて聞いてくるが、私は否定する。
「全然違います。感情で言えば確かに好きですが、気持ち的には恩人です。」
よく分からない。といった表情を向けられ、私も言葉が詰まる。
「まぁ…宜しくね。あの子のこと。」
優しく微笑む姿が、どこか遥斗に似ていた。