こんなことは、いままでの人生ではなかった。私の人生は、精神面では崩れ落ちることは多々あったとしても、恋愛面では一律をたどってきたのだ。

彼の指が、私の頬に触れた。その指は緩やかな私の身体の曲線を伝いながら、ふくよかな胸へと到達した。私の乳首を優しくなぞりながら、彼は私にキスをする。彼の唇が私からふと離れると、思わず声が漏れた。微かな高いラの音が、彼の体を突き抜けて、真っ白な天井に吸い込まれていく。横の壁には小さなテーブルランプによってできた私たちの影が、のっぺりと光の趣を残しながら揺れていた。

あ、動き、この、穏やかな波

影に思いを馳せたとき、彼の唇が、私の固くなった乳首に触れた。私のこの穏やかな波は、私の指先から徐々に心頭へ伝う津波と化して私に押し寄せていくのであった。
「あっ…ああっ…」

頭の底の、枕に近い部分がヒリヒリする。私をむさぼるコウさんのつむじが、変に幼くて、私は彼の頭を撫でた。

コウさんは、私の乳首をなめ、胸を優しく揉むと、次は私のおへそにキスをした。両手で私の腰を支えながら、私の心臓に口を近づけて大きく深呼吸もした。私はコウさんの唇をつたい、コウさんの喉奥にあるうめきを抱き締め、また心臓へと返された。

クリトリスを刺激するコウさんは、もういままでの優しさを