学校祭1日目。
もうすぐ始まる。
最初にたいして面白い訳でもない生徒会の一芸大会を見せられた。
そんな中心臓が風船のように膨らむ。
一芸大会が終わって吹奏楽部は演奏の準備を進めていた。
私はクラリネットを握って思う。
失敗しない…する訳がない。
あんなに練習したんだ。
そうだ…楽譜。
周りに楽譜が無くて焦った。
「せつな、はい。楽譜」
「ありがとうございます」
美希先輩が楽譜を手渡してくれた。
楽譜を握りしめて、焦りを沈める。
「次は吹奏楽部の演奏です」
司会の言葉で私たちはステージに移動した。
「こんにちは、吹奏楽部です」
部長の挨拶は簡単でコンクールの事も話していた。
ついに演奏が始まる。
一曲めはCMソングを吹いた。
そして2曲目。
ついに私のソロの曲だ。
楽譜を巡って私は息が止まった。
空白のスペースに応援メッセージが書いていた。
せつな!頑張って!
そんな短い言葉は私の心を強くしてくれた。

慌ただしいリズムが観客と演奏者の心を騒がせる。

曲の1番を終えて、2番に入った。
刻一刻と私は緊張している。
そして…私は素早く立ち上がった。
そしてソロパート。
早いリズムに手が追いつかない。
それが悩みだった。


リードミスも何回もしたし、音も何百回も間違えた。
そんな私だから、絶対成功させる。
そう思って深く息を吸った。
私は無我夢中で吹いた。
そしたらいつの間にか終わっていた。
1分もない…短いソロパートだった。
この短い時間のために私達は何十回…何百回と挑戦を重ねる。
そして、短い時間で感動を伝えられるようになりたい。

そして最後の曲…
翔くんのソロパート…
私は誰より彼が努力して来たのを知っている。
だから、彼を信じて私は彼を支えたい。
いよいよソロパート…
私達クラリネットは低音の全音符が多い。
それで支える。
私よりも長い翔くんのパート。
だけど、難なくクリアした。
「アンコール!アンコール!」
生徒達の激しいアンコールに応えるべく、部長がマイクを取る。手にはトロンボーンがある。
「アンコール。ありがとうございます。皆さんが盛り上がって手拍子してくれたりしてくれて嬉しいです。そして、今日頑張ってソロを吹いた1年生にもう一度拍手をお願いします!」
大きな拍手を受けて泣きそうになった。
「まだまだ学校祭は始まったばかり!最後の一曲。学園天国!」