ある朝目が覚めるといつものベットではなく布団で寝ていた。
状況がうまく察知できなくて昨日のことを少しずつ思い出す。
球技大会の後…翔くんの家でご飯を食べて…
そうだ唯と喧嘩してること話したんだ。
そのあと翔くんに見つからないように泣いたんだ。
そこから記憶がない。
てことは翔くんの家に泊まったって事?
そこまで考えて顔が赤くなるのが分かった。
「…だから、会いたくない…」
リビングの方で翔くんの声がする。
「でも…」
電話をしているのが目に入った。
翔くんは珍しく弱々しい声を上げていた。
電話越しに聞こえるのは、私と同じくらいだと思われる女の子の声。
「とにかく…電話切るから…」
「待って…しょ…」
そこで強引に電話を切った翔くん…
そして携帯を遠くでも分かるくらい強く握っていた。
どうしたんだろう…
もしかして彼女とか…
そこまで考えてなんだか嫌な気分になってしまう。
どうして…関係ないのに。
分かんないや…
「あ、起きてた…」
「え…」
気づくと翔くんがこっちを見ていた。
「ごめん…」
「何?…まさか電話聞いた…?」
「うん…」
「ほんと?」
「うん…」
短い返事しかできない。
心に何か突っかかる。
「そう…でも友達からだから」
「そう…なんだ」
翔くんが焦ってるのが手に取るように分かった…
もしかして本当に…
彼女…
そりゃ翔くんはイケメンだから…
でもコンクールの日はいないって…
私のバカ…
コンクールから2ヶ月経ってるのに…それまでに告白なんて…
翔くんならあり得る。
「それより朝ごはん作ったから食べて…」
「う、うん」
机に並んでいるのは味噌汁とご飯と目玉焼き…。
どれも凄く美味しかった。
「結局泊まってしまってごめんなさい」
「いいって」
朝ごはんを食べ終わって今は翔くんの家の玄関で靴を履いている。
「じゃあ、また」
翔くんに挨拶をして家を出た。