服を着ては脱ぎを繰り返す。
よし、これで行こう。
選んだのは、黒いスカートに、白いヒラヒラした服…
派手かな?
まぁ、いいや…
今日、両親は夜勤で11時まで帰ってこない。
ピンポーン!
来た!
それだけで、もう心臓がバクバク。
「は…はい」
「よ!」
とらしくない挨拶をした翔くん
翔くんの服装はジーパンに黒いポロシャツ。
それがすごいかっこいい。
思わず見とれてしまった。
「せっちゃん?」
「あぁ、何?」
「何じゃないよ。ボーとしてさ」
「ボーとなんてしてない…」
「そ?じゃあ、行こうよ」
「あ、うん」
そして、鍵をかけて、2人で道を歩く。
「どこ行くの?」
「あぁ、俺ん家」
「そう、翔くんの…って」
え?
なんで⁈
どうして⁉︎そんなこと考えていると…
「着いたよ…」
いつの間に…
そこは、普通のアパートだった。
家に入ると意外に片付いていて、綺麗だった。
家具もおしゃれでいいものばかり。
「お父さんとお母さんは?仕事?」
「あ、いや、親はいないんだ」
「ごめんなさい…」
「いや、いいんだ」
そう言ってホットプレートを出して来た。
「何を作るの?」
「たこ焼き」
「本当⁉︎やった!」
思わずはしゃいでしまった。
それを見て、翔くんはぷっと笑った…
恥ずかしくて、顔を赤くした。
「せっちゃんってさ、可愛いよね」
「え!?」
すんなりそういう翔くん…
それでさらに顔が真っ赤になる。
「さ、座って座って」
「あ、うん」
その後たこ焼きを作って食べた。
「あっつ!」
翔くんが熱さに思わず叫んだ。
「翔くんって猫舌?」
「あぁ多分」
なんか可愛い。
その後片付けをして…
2人で雑談しながらテレビを見て…
楽しい時間を過ごす。
そうしているとお母さんからメールがきていた。
『今日、お父さんとお母さん、帰れないから戸締りきちんとしておいてね』
「どうしたの?」
「あ、お母さん達が今日帰れないって」
「本当?じゃあ泊まっていきなよ」
「え⁉︎」
さらりと大胆なことを言っている翔くん。
「無理よ。だって迷惑でしょ?」
「全然」
「でも…」
あまり頑なに断るのも失礼かな?
でも男の人と2人きりなんて絶対心臓が壊れる。
「ごめんなさい」
「そうか…じゃあさ、聞かせて欲しいことがある。それだけ答えて」
「うん。何?」
「小坂さんと何かあったの?」
「え…」
よりによってそれに触れてくるとは思わなかった。
「ちょっと喧嘩しちゃって」
「それだけ?」
「うん」
「原因は何?」
「唯の彼氏が浮気しててそれを伝えたら怒って友達やめるって言われちゃって」
そこまで言って涙が出そうになる。
「最低よね。黙っていれば、唯は幸せだったのに、彼氏に少しでも疑いを持って付き合うなんて」
そんな自分に嫌気がさす。
「でもさ、せっちゃんはそれが正しいと思ったんでしょ?」
「え?…まぁ」
「だったらいいんじゃないかな?」
なんでだろう…
なんか涙がじわじわ浮かんできた。
「うわ!ちょっとどうした?」
私の涙を手で拭ってくれた。
ありがとう…
そう心で呟くのが精一杯だった。
そしたら急に眠くなって…
そこから何をしてたか…
記憶が途切れた。