その夜、唯からメールが来た。
『今日はごめん。何も知らないのに、ひどい事して』
きっと荒野先輩との事だろう。
『こっちが悪いから、別に気にしないで』
そう送ったけども…
嘘…
私は何も悪くない。
そうでしょ?
次の日も学校に行きたくなかった。
「おはよう」
そう言われて、振り返った。
「なんだ、あんたか…」
その人は翔くんだった。
「なんだって…酷いなぁ」
「今日は珍しく早いのね」
「うん、なんとなく」
そう話してると…
「おはよー、せつな」
唯と荒野先輩が来た。
「おはよ、吉原さん」
昨日はせつなちゃんだったのに…
器用な人。
私が先輩が怖くて、翔くんの後ろに隠れるように、後ずさりした。
「じゃあ、帰り」
「うん!じゃあ」
そんな唯の笑顔が見られなかった。
この笑顔が曇ってしまったら…
って考えたくない。
「せつな!」
「唯…」
翔くんはいつのまにか消えていた。
「ねぇ、聞いてせつな」
「何?」
「私ね、春にキスされたんだ〜!」
え?
私の脳に花さんとのキスが蘇る。
花さんとキスした唇で?
もしかしたら、花さんだけじゃない…
何人も仮の彼女がいるんじゃ?
唯の中では先輩が1番なのに。
でも、先輩にとって唯はただの仮の彼女の1人でしかない。
「ねぇ、唯」
「何?」
「荒野先輩って本当にいい人?」