夏休みが終わって、学校がまた始まった。
それがなんだか嫌だった。
だって、唯に言った方がいいのか、それとも言わずに、見逃すのか。
私はどうしたらいいの?
「おはよー。せつな!」
「唯」
見ないうちになんだかより可愛く、そして綺麗に見えた。
きっと恋の力だ。
そんな、唯の幸せを壊したくない。
だけど、騙されてる唯は幸せなのかな?
「あ!春だ」
そう言って荒野先輩の元に行ってしまった。
2人で笑い合う姿は本当の恋人同士のようだ。
私も思わず見入ってしまうけど、そうすると浮気しているシーンが鮮明に浮かび上がる。
始業式が終わってやっと帰る時間…
「吉原さんはいる?」
その声に振り返ると、そこには荒野先輩がいた。
あの不気味な笑顔がまたフラッシュバッグする。
「はい…」
「あのさ、話あるんだけど」
私も話がある。
この際はっきりさせよう。
連れてかれたのは、空き教室…
「何ですか?」
「せつなちゃんさ、見てたかでしょ?あれ」
やっぱり気づかれてた。
もしかして…という淡い期待は即打ち砕かれた。
「はい」
「やっぱり」
「あの人、誰なんですか⁈」
「彼女」
何事でもないように言う先輩。
「じゃあ、唯は?」
「あぁ、あれ。あれも彼女。形だけの」
''形だけの''
その言葉に怒りが最高潮に達した。
「ふざけないで!唯はあなたの事大切に思ってるんです!なのに、ものみたいな言い方しないで!」
「そうやって、本気になるのほんと面白い」
は?
「でも、俺、唯より花(はな)より、せつなちゃんがタイプだなー」
きっと、あの時いた彼女が花さんなんだろう。
そして、手を私の頬に当てた。
それが気持ち悪かった。
「やめて!」
私は強い口調で言う。
「私も唯も花さんもあなたのおもちゃじゃな
い。唯も花さんもあなたの事が好きなの。その純粋な心を弄ばないで!」
「いいねー…いいよそれ」
まだ怯まない先輩。
「そう言う強気な感じ好きだよ」
そう言って、どんどん近づいて来る…
「やめて!」
そう言って、思いっきり先輩の胸を押すと、先輩は後ろに倒れた。
「何してるの?」
私でも先輩でもない声が聞こえた。
「唯」
「せつな、ひどいよ!春に乱暴なんて!」
「違う!この人が…」
そこまで言って言葉が詰まった。
言っていいの?
幸せを壊すの?
私はそのまま黙り込んでしまった。
「春、大丈夫?」
そうして、唯と荒野先輩は教室を出て行ったが、私は脱力して膝から崩れた。
どうしたらいいの?
誰か、誰でもいい…
教えて…