夏休みに入って2週間。夏休みもあと10日。
金賞という事もあって、私たち、吹奏楽部は市のお祭りに度々、呼ばれるようになった。そのおかげで夏祭りに行けなかった。
そんなことより気になったのは唯の事。
あの人とデートとかしてるのかな…
なんか、あの先輩、怖いというか、何か裏がありそうな気がする。
その予感は的中した。
私がある日の夜、コンビニに訪れた時。
会計を済ませて店を出た時。
「え?」
私は驚きで声が出なかった。
だって、荒野先輩が唯じゃない女の人と一緒に歩いていたから。
どうして?
あの人は唯の彼氏でしょ?
二股?
ううん…気のせい…
自分に言い聞かせた。
でも、それも無意味だった。
だって荒野先輩と女の人がキスをしていたから。
許せない。
唯はあんなに好きなのに。
それを簡単に踏みにじるなんて…
怒りが込み上げて来た。
すると、荒野先輩がこちらをにやけて見ていた。
それだけで寒気がした。
家に帰っても、あの不気味な笑顔が頭から離れない…
寒気と同時にあの笑顔の意味が気になった。
唯に言った方がいいのかな?
でも、唯の幸せを壊すのが怖い…
きっと、彼がいなくなったら、唯は耐えきれなくて、唯自身壊れてしまいそうだ…
そんな迷いを抱えたまま、夏休みは終わった。