コンクールまであとあと2カ月という所まで来てだんだん部活内が真面目になってきた。
私と翔くん以外の1年生も合格してみんな、発表の場に立てるようになった。
「せつな、何してんの?」
「楽譜の譜読み」
「えー?そんなの授業中にやんなよ。昼休みなのに」
「昼休みにやっておかないとダメなの」
「ふーん」
唯はつまらなそうにどこか行った。
放課後、部活の時間。
着々とコンクールの準備が進んだ。
直すところも無くなっていった。
終わりの時間。
私はいつも早めに玄関に向かう。
今日はなんだか足が外で止まった。
「え?せっちゃん、どうしたの?」
いつも待ってないからか不思議そうに翔くんが見ている。
「別に」
私はいつもごまかす時、『別に』を使う。
「まぁ、とりあえず帰ろうよ」
帰り道を歩く時に質問してみた。
「金賞、取れるかな?」
「どうだろう。でも、結構頑張ってると思うよ」
頑張れば取れるものでも無いけど、精一杯頑張れば悔いは残らないはず。
もっと頑張らなきゃ。