【風月side】

入学式して一ヶ月がたった。

修也が『取られちゃうよ』なんて言われてから、凛を見ると顔が熱くなる。

俺、最近変だなって、つくづく思う。

俺だって、不器用かも知んないけど、凛のことが好きってこと結構前からわかってた。

毎年、七夕の時に凛に見つからないように短冊に書いているんだ。
『凛と幸せになれますように』って。

去年は気付かれちゃったけどね。
この時は、凛の鈍感さに感謝した。

懐かしいな。

廊下の窓から見える外の景色は最高だった。

「おい!風月!凛がいなくなった!」

「はぁ?嘘だろ、凛がいない?」

俺は、入学式の時みたいに、廊下を走った。

“凛が無事でありますように”

【凛side】

入学式からはやくも、一ヶ月がたった。

千花に、『告れば?』って言われて風月といるのが恥ずかしくてしょうがない。

ふと、外を見て見た。
窓から見える外の景色はとっても綺麗だった。

____ガシッ

「きゃっ!何して!」
手を思いっきり引かれた。
口をハンカチで塞がれた。
おまけに、手を紐で縛られてしまった。

そのまま、空き教室に引きずり込まれた。

あいにく風月も千花も修也も先生の手伝いとかで、いなくて一人だったから、助けも呼べない。

どうしよう、怖い。

「ちょっと、何してくれるんですか!離してください!」

「うるせぇな、静かにしてろよ。」

「そうだぞ、痛い目にあいたくなければ静かにしてろよ。」

男は二人いた。女の私にはとても勝てない。

「貴方達、私をどうする気なの。」

「うるせぇな、黙ってろよ!」

____ゾワッ

「へぇ…やっぱりいい顔してるね、お嬢様。」
男が、私の頰を撫でてきた。

「ひぃ…や、やめなさいよっ!」

知らない人に触られた…
ヤダ…風月…

なんで、風月を思ったのだろうか。
気づいてしまったのかもしれない。
いや、気づいていたのかも。

ずっと前から風月が好きだった。