漫画が乱雑に散らばるベッドで、薄い布団を被っていた。
目を開けると、しわくちゃのシーツと薄いピンクの壁が映る。
朝か。学校に行かなきゃ行けないんだ……。
体温で暖かい布団に包まれて、このしわくちゃのシーツに張り付いていたい。
誰とも喋りたくない。勉強したくない。自分を作りたくない。
そう思っているけど、体を起こして部屋を出る。
休日だったらよかったのに。
ボサボサの髪をかきあげ、ふらふらと居間に向かった。
「おはよう」
私が起きたことに気付いたお母さんがこっちを見た。私は無視してソファに寝転ぶ。
ニュース番組では、女性に人気のスイーツ特集をしていた。私と同じ年なのに、華やかで年上に見える女の子たちが話す。
また東京。中途半端な田舎と、田んぼに囲まれた学校を行き来する私の気持ちを考えていない。
テレビに映る人たちは休日を友達と楽しそうに過ごしている。私にとって休日は、休息と安心。楽しい、と言うより、学校で疲弊した心と体を癒す存在だ。
嫌なことを考えてばかりの脳を、ボーッと動画を見ることで休める。ゲームは腕より時間を必要とする周回ばかり。
別に、休日くらい一人でいいじゃない。
学校での自分の意思に反した言動で疲れているのに、何で他の人と一緒に過ごすの?一人は楽なのに。
机に朝食が置かれた。チーズをのせた食パンと、フライドポテトと、ヨーグルトだ。
おしゃれなカフェの朝ごはん?朝は早く食べられるものが一番。そんなもの、見るだけで疲れちゃう。
家にいる時間は出来るだけ延ばしたいのに、遅刻しないようにと早く食べてしまい、悲しい。


