N+1dream

「恵里花、もしかして夕方外に出てる?」


イカのフライに近づけた箸を止める。まさか、ばれた!?


お母さんは私が一人で外に出ると小言を言う。


「この私が出る訳無いよ。ずっと家でゲームしてるし……。外に出たって楽しくない」


「そうだね。恵里花は生粋のインドア派だったね。近所の人が言ってたのは別の子かー」


うまく誤魔化せた。
近所の人に見られてたなんて……。暗くなってるから、皆カーテンを閉めてるし大丈夫と思ったんだけど……。



もしばれたら外に出られなくなるかな?それだけは嫌だ。夜風が嫌な出来事を吹き飛ばしてくれるのに……暗い世界で、向こうに明かりがあるから前を向けるのに……。


私が何もしなくても一人になる町は好きだ。私が何もしなくても、周りに誰かがいる街は憧れだ。


失えばきっと、生温いこの部屋で死んでしまう。