N+1dream

あの場所に行くと、兄弟の名前を呼ぶ彼がいた。


私は反対側で探す。
名前を呼び、木や物の裏を探す。


枯れ葉を踏んで、ガサガサと音がする。ここで襲われたら逃げられる気がしない。全力疾走の疲れがまだ残っている。


植木の裏を覗き混む。すると、遠くにしゃがみこむ子供を見つける。
一度離れたふりをして……、また走って近付いた。


「みーつけた!」


「えっ!?だれ!?」


「お兄ちゃんの友達!?」


桜のヘアゴムをつけている女の子と、戦隊物のおもちゃを持つ男の子が並んでいた。


「さっき怖いおじさんが出てきたから危ないよ!お兄ちゃんも心配してるし……」


「お兄ちゃん……でも、家には帰りたくない!」


「でもここは危ないから、明るい所に行こう。その前にお兄ちゃんと合流しよう」


二人は頷いた。三人で手を繋いで、お兄ちゃんの所に行く。


「いたよー!」


彼の姿が見えた所で手を振る。
三人を見た彼の表情がパッと明るくなった。


「どこに行ってたんだ!ああ……心配した……」


二人をぎゅっと抱きしめる。


「ごめんなさい……」


「家のことは帰ってからゆっくり話そう」


これで、ハッピーエンド、かな?
家のことは私にはどうしようもない。


邪魔しないよう、ひっそり帰ることにする。人が多いルートを使えば大丈夫。


「幹斗ー!なっちゃんいたよー!」


ボブカットの女の子がそう言った。
ぬいぐるみを持っている小さな女の子が、二人に挟まれていた。


「もう二人も見つかったんだ!良かった!」


おしゃれな服の男の子がそう言って笑った。


あの子が言っていた友達か……。いいなあ。
どこにいたのか話す三人に気付かれないようその場を去った。