N+1dream

人が少ない道が続く。ここを乗り越えれば助かったも同然。


「助けてください!」


ダメ元で助けを求めてみる。けど、早くも酔っぱらっているサラリーマンや、夜景の写真を撮る人には届いていなかった。


そんなもんだよね。
だから自分一人の力で生き残らなければいけない。


あの人たちも危ない。私には助ける余裕がない。

冷たい空気が私ののどを刺してくる。痛い、苦しい。
私は植木の影に隠れた。ゆっくりは出来ない。少し回復したらまた逃げないと……。


そうだ!警察に通報しないと。ロック画面の緊急通報を初めて使う。


こうしている間にもしも襲われたら……という恐怖と戦いながら画面に触れる。



「おい、大丈夫か?顔が真っ青だぞ……」


襲ってくる人では無い。優しい人の声だった。
私の目の前にいる。


「えっと……逃げてる最中というか……」


「なら一緒に逃げようぜ!話は後で聞く!」


差し出された大きな手を取る。


私たちはお店が並ぶ明るい所に逃げた。