N+1dream

何で!?私を置いてまで会いたかった玉貫君は!?
愕然と立ち尽くしていた。


待って、もしかしたら兄弟かもしれない。
その可能性も浮かび上がったけど、指を絡ませるこの二人を見ると打ち砕かれた。


もういいや。
私は広場から立ち去ろうとした。


人気のない、木がもっさりと茂っている所を歩く。
その時、木の向こうに会うはずのない人を見つける。


じりじりと後退りする。まだだ、気付かれていないのに走るのは……!


人混みに紛れようか?逃げるタイミングを図る。


ふらふらと歩いていると、ぽっかりと空いた所に来てしまう。
公園だ。


ここなら人の流れが良くわかる。よし、今だ!


走り出そうとして足に力を入れた時……。


何かが地面にぶつけられる音がした。


振り返ると、目を見開いて、物干し竿を持った男が私を見ていた。


逃げなければいけない!
このまま家に帰ると、鍵を差す時間で追い付かれる。人混みに紛れるか、通報する時間を稼がなければいけない!


こういう時の運には自信がある。
大丈夫、今までのことは厄払いだったんだ!


私は出所した元アパートの住人から逃げ切る。