Ｎ＋1dream

ひゅっと夜風が吹いて、私の頬を撫でた。


暗くなるのが早くなったから、夜の散歩を今までより長く楽しめる。
とびきり不安なことがあったんだ。もっと先に行こう。


暗い夜道を一人で走る。何とも言えない孤独感を振り切ろうとしていた。孤独感の代わりに何かがついてくる予感がしていた。


輝く繁華街。
立ち止まってキラキラしている世界を眺めた。都会みたいに特別高い建物はないけど、あの灯りの一つ一つに人生がある。


ぽつぼつと点いているマンションの灯り。あの中にはどんな人がいるんだろう。皆、今ごろは誰かと過ごしているのかな？


どこかから恋の歌が聞こえてきた。近付いて聞いてみると、広場の木の下で歌っている人がいた。


皆楽しそうだけど、私は不愉快だった。


運命が何！？大半がどうせ別れるのに！体育では別行動でペアを組めないし、同姓の敵を作るかもしれないものがそんなにいいの！？役に立つ！？


聞いているのはカップルだけじゃない。一人の人もいれば、友達で集まっている人も……。


歌に合わせて踊り始めた。上手く踊ろうなんて考えず、それぞれの動きがあった。



その中に、茜ちゃんと、玉貫くんじゃない大人の男の人を見つけた。