失敗しないように、怯えながら過ごした。失敗したくない、足を引っ張りたくないと思いながら動いていた。
それでも結果は大して変わらなかった。


このままじゃ見捨てられてしまう。そう思ったけど、茜ちゃんは今日も私を誘ってくれる。今日は私と茜ちゃんだけらしい。風邪で二人休んで、田坂ちゃんは他の子と食べるからこうなった。


「百は何買うの?」


「ベビーカステラとタピオカジュース。でも人気ありそうだし売り切れてないといいな……」


言い終えてから、大好きな玉子焼きを食べる。
茜ちゃんが、まあ何とかなるんじゃないと言った後、入り口で誰かの呼び出しがあった。


「あっ、玉貫君だ!」


茜ちゃんが後ろを振り返り、玉貫君を見る。玉貫君は茜ちゃんの彼氏だ。
もしかして、私一人になる!?


玉子焼きを噛み砕いて、急いで飲み込む。

「じゃ、行ってく……」
「ちょっとまって、いつ帰ってくるの?」


手を伸ばして茜ちゃんを引き留める。


「いつって……そんなのわからない。もう行くわ」


「何で……!私一人に……」


茜ちゃんはまだ中身が残っている弁当の蓋をする。


「いい加減にして。彼氏優先するのは普通じゃないの?ずっとあんたといられる訳じゃないし……ねぇ百日、今日おかしくない?」


固まっていた手を机にぱたんと置いた。
茜ちゃんは椅子を戻すことなく玉貫君の元に向かう。


教室の真ん中、一人残された私は、冷めたご飯を食べる。


箸を持った手は固まって、私はいつの間にか涙を流していた。