N+1dream

今日もまた、憂鬱な体育の時間が始まる。
体操が終わった後、前で手を組んで俯いていた。



「百日、こっちにおいで」


後ろから肩を叩かれ驚いた。
振り向くと、クラスのムードメーカーの山越 茜(やまごし あかね)さんがいた。


「……うん」


小さな声で、やっと言えた。
ボールを持って、練習を始める。


打ち返せない!
バレーボールは嫌いだ。距離も足りないし、まっすぐいかないし……。


山越さんは親切に教えてくれた。
それで少し距離が伸びたけど、まだ少し足りない。


「うっ!」


ボールに手を当てる前に力尽き、どすんと地面に落ちる。
かすりもしなかったボールは横に転がった。


山越さんと山越さんの友達は笑っていた。でも、悪意は無い。こんなの見たら誰でも笑ってしまう。


何度も教えてもらい、挑戦した。それでも出来なくて、山越さんは練習できていない。


山越さんたちが笑える状況じゃ無いことはわかっていた。