何度ため息をついたかな?
あの日から、山越さんが挨拶してくれるようになったのはいいけど、少し困ったことにもなった。


「百、おはよう!」


「おはよう……」


けらけらと笑って去っていく。私の無表情が面白いらしい。関係のない人まで挨拶してくるようになった。


見世物じゃないんだけどな……。仕方ないか。
これに手を振る、頷くといった動作が加われば爆笑。


嬉しくないけど、先生には皆が挨拶してくれる、私も元気に返している、と好意的に報告する。
それを聞いて、よかったな、心配してたんだぞと言われた。


先生のいないところでため息をつく。こんな扱いの何がいいの?
皆を見返せるような長所がある訳ではない。それも並大抵の長所じゃ立場なんて変わらない。性格が変わらなきゃ……。


このネタだってそう長くは続かないはず。そうしたら、私の存在はまた消えてしまう。
その前に、何とか立場を築かなければいけないかもしれない。


そうだ、これはチャンスだ!