プリントを配り終え、書いてあることをひとつひとつ説明していく。
実行委員の仕事や山林体験の内容を話し、今日は終わりにした。
実行委員が帰っていく中、七瀬だけが残った。
「先生、俺、陽菜にプリント渡すからちょーだい」
"陽菜"に反応する。
こいつ案外、気、きくな。
「やだねー、お前に渡したくない」
自分でも今言った言葉に驚く。
がき相手にこんないらついてる気持ちにも驚く。
「それって、プリントですか?それとも陽菜を、?」
「さぁ、知らない」
「知らないなら、俺がプリント陽菜に渡す」
「いいって。俺が渡すから」
はぁ…とため息をつく七瀬。
「先生には負けたくない」
「プリント渡すだけなのに、なんの事かなぁ???」
ほんとは分かってる。

