顔が近付いてきて……キ、キスされる……っ
「相川、怖がってますよ」
____________低く、通る声。
私の、大好きな声。
「……くそっ」
数学の先生は走りながら逃げていった。
私は、怖くて、怖くて、だけど先生の声に安心して、その場にうずくまる。
「相川、大丈夫かっ」
一目散で私に駆け寄る先生。
本気で心配そうな顔。
今にも泣きそうな顔。
「せ、んせ……こわかった」
「よかった、もうちょっと遅かったら!!」
聞いたこともないくらい焦った声に、
どうしようもないくらい溢れる愛しさ。
「ありがとう……ほんとに、先生、大好き」
そう言うと、横を向いてしまった先生。
顔、赤い。かわいい!

