病室にいると
とてつもない寂しさがやって来た


もう、無理だ



私は、病院を脱け、寮で私服に着替え
バスを乗り継ぎ

お母さんと暮らした町を目指した


私の生まれ育った町

最期もそこがいい


お母さんと暮らしたアパート
通った幼稚園や小学校

遊んだ公園

遠足で行った裏山

痛む体を動かして、懸命に登る


私は、来る途中で買ったロープを鞄から出した


亜樹さん
ありがとうございました

遺書には、それだけを書いた



いけないことをする
わかっているから、涙が溢れる

おじいちゃんもお母さんも怒るよね?
迎えに来てくれないよね?


ロープをしっかり輪っかにしていた時