守ってあげたい 【完】

私たちは闇に包まれた教室で、
外の、かすかな月明りに照らされながら
バームクーヘンを食べた。


『私、お母さんと2人暮らしなの。
 夜は仕事でいないから
 お腹すいたら食べるように、って
 いっつもなんか置いてあるの。
 ドーナツとか
 鈴カステラとか。』


「鈴カステラ?」

『知らないの?』

「知らない」

『じゃ、今度持ってきてあげる』

「いらねーよ」