守ってあげたい 【完】

ドアが、バタンッと開いて、
アイツが出てきた。


私は慌てて廊下の壁に
忍者のようにくっついた。

アイツは私の方には目もくれず、
足早に廊下を歩いていった。



もう、だいぶ傷だらけなのに。
アイツはまた、傷を負った。
いつも誤解されてばかり。
誤解を解くこともできないまま
ただ
傷が
増えるだけ。

遠くなった背中に、手を伸ばす。

私には見える。
背中から生えている、
傷だらけの
黒い羽。