「桐島君、天野さんは学年トップの
 秀才。いや、学校イチの秀才
 と言ってもいい。こんなことくらいで
 天野さんの学歴に、キズをつける
 わけにはいかないんだよ」


「こんなことだとっ?!
 それじゃ、あいつの学歴には
 キズがついてもいいってことかよっ!」


「黙りなさい。これ以上デタラメな
 ことを言うんじゃない。
 早く帰りなさいっ」


「オヤジ!
 話を聞いてくれよっ!」



降りしきる雨に
差す傘はなく。


影からこっそり見ている私も、
校長先生に歯向かう黒男子も、
ただ
雨に
濡れるしかなかった。