退院してからももとの生活に戻るまでは少し大変だった。


今日はバイトに行く前に駅のカフェに立ち寄った。



「話って何？」



不機嫌そうな顔をした胡桃ちゃんは怠そうに椅子に座った。


私は彼女の連絡先を知らない。


だから恵奈ちゃんにお願いしてカフェに来て欲しいと伝えてもらった。


もしかしたら無視されるかもしれないと思っていたから、来てくれて少し驚いた。



「秋ちゃんと付き合う事になったから、伝えておきたかったの」

「はぁ！？ 私の言ったこと忘れたわけ！？」

「忘れてない。 だからちゃんと伝えたかったから会いたかった。 私は秋ちゃんの言葉を信じる」



胡桃ちゃんと秋ちゃんの関係は恵奈ちゃんから聞いた。


付き合ってなかった。


手を繋いだことも二人で出かけたことも無かった。



「勝手にすれば」



そう言って胡桃ちゃんはカフェから出て行った。


こんな風に女の子と話したことないから心臓がバクバクしてる。


怖かった。


でも、これで良かったよね？


自分勝手かもしれないけど、ちゃんとケジメをつけたかった。


コーヒーを飲んで気持ちを落ち着かせてからバイトに向かった。