まぁ、もういっか。


明日そうなったらその時考えよう。


手をギュッと握った。


大きな手。



「ねぇ、秋ちゃん」

「ん?」

「本当に彼女いない?」

「いないよ」



真剣な瞳。


この瞳、よく知ってる。



「宜しくお願いします」

「え?」

「夢の国で返事してなかったから……もう遅い?」

「そんな事ない!!」



失っていた記憶を取り戻した。


けど、失っていた時の記憶も忘れてない。


自分が体験してきた事のはずなのに、夢でも見ていた様な感覚。



「ココ、大好きだよ」

「私も大好き。 会いたかった」

「俺も、会いたかった」



頬を包み込む大きな手。


こんなに逞しい手をしてた?


知らない人みたいでまだ少し慣れない。


ドキドキする。


瞼を閉じると唇に柔らかな感触がした。


そっと目を開けると、秋ちゃんと目が合った。


恥ずかしくて思わず視線を外してしまった。


頭を抱き寄せられて、秋ちゃんの胸に顔を埋めた。



「もう絶対離さない。 ずっと一緒にいよう」

「うん…私も秋ちゃんと一緒がいい」



戻ってこれた。


またここに、戻ってきたんだ。


中々泣き止まない私を秋ちゃんはずっと抱きしめてくれていた。