車に轢かれた私は、出血が多くて、一度心停止してしまったらしい。


その時にお姉ちゃんが引き止めてくれたんじゃないかなって勝手に思ってる。


私が突き飛ばしてしまった男の子は擦り傷で済んだみたいで安心した。


車を運転していた男性は助手席の人と話をしていて信号が赤だということに気づかなかったらしい。


生死をさまよう事って人生に2度もあるの？と、自分の運の悪さに驚かされる。


＿コンコンコン。



「どうぞ〜」



顔を覗かせたのは秋ちゃんだった。



「部活は！？」

「休みだよ」

「もぉ！ 嘘ばっかり！ ちゃんと行かなきゃダメだよ」

「朝練には出てるよ」



笑顔で椅子に座った秋ちゃんは、もう私の小言を聞く気はないらしい。


ほぼほぼ毎日会いに来てくれる。


嬉しいけど部活のことを考えると複雑。


頬を撫でられた。



「ふくれっ面にならないでよ」

「明日はちゃんと部活行く？」

「……努力する」

「……来ても部屋に入れないからね」



手を握られ悲しそうな顔をされた。


普段こんな顔をする事がないから破壊力抜群だ。