試合に夢中になっていると、第1クォーターが終わった。


ハラハラドキドキしながら観ていたせいか、掌が汗でびっしょりになっていた。



「うーちゃん! 怪我は!?」

「問題ない」



タオルとドリンクを渡した。


すると「サンキュ」と言って笑って受け取ってくれた。



「愛! ごめん! テーピング貸して!!」



隣の聖園のマネージャーが慌てた様子で叫ぶように声をかけてきた。



「え!? 持って来てないの!?」

「忘れちゃった!!」

「心ごめん、これあっちに持ってってくれない?」

「オッケー!」



聖園学園の皆さんから凄く見られてる様な……。


なんだろこの気まずさ……。



「あの、これ……」

「あ、ありがとう!」



聖園のマネージャーさんにすっごいガン見されてる。


何で!?


テーピングを渡そうとしたら、横から伸びて来た手に取られてしまった。



「冴島は恵奈と一緒に試合の準備」

「は!? じゃあ誰がテーピングすんの!? 自分でする気!?」



え?


怪我したのって秋生なの?



「心にやってもらうから大丈夫」



え?



「私!?」