「あ!」



歩いていると新が声をあげた。



「あそこのカフェでメッチャ可愛い人がバイトしてるらしいっすよ」

「てかあそこにいんの篠宮(しのみや)じゃね?」



直の言葉にいち早く反応したのは冴島だった。



「本当だ! 篠宮君じゃん! なんであんなところにいるんだろ!」

「バイトの子待ってるんじゃないの?」

「ちょっと恵奈! そういう事言っちゃう!?」



冴島は一年の時から篠宮の事を好きらしい。


俺も恵奈の言葉に心中穏やかではなかった。


お店から心が出てきた。



「あの子じゃないっすか!? バイトの子!! って直先輩何固まってるんっすか! 恵奈先輩に怒られますよ!」



篠宮は本当に心を待っていたらしく、二人は何やら話し始めた。


話していたと思いきや、心が篠宮に抱き着いた。


冴島と新が煩く騒いでいる。



「女の子の方が好きって感じだよね。 あ!」



胡桃の驚いた声。


同時に心が篠宮の頬にキスをした。


その後2人は腕を組んで笑いながら歩いて行った。


気付けば拳に力が入っていた。


心配そうな顔をしている恵奈。


直も雰囲気的に心配してくれている気がした。


けど気付かないふりをした。