ご飯を食べてソファーに座ってるうーちゃんの隣に座った。



「うーちゃんってバラエティー好きな割に笑わないよね」

「そうか? そんな事ねーよ」

「そんな事あるよ」



声を出して笑わないけど、楽しそうな顔はしてる。



「ねぇ、うーちゃん……」

「ん?」

「夏休み忙しいのは分かってるんだけどさ、海とかお祭りとか一緒に行ってくれる?」

「聞かれなくてもそのつもりだったけど?」

「ありがとっ!」



うーちゃんの肩に頭を乗せた。


記憶を失くした私といつも一緒に居てくれたのはうーちゃんだった。


その時と変わらず、今もそばに居てくれる。


原因は大事故の所為だって言われた。


けど、その事故の事すら覚えてない。


分かるのは自分の事だけ。


家族も友達も……何もかも分からない世界。


だから無条件でそばに居てくれるうーちゃんに甘えて縋った。



「……ごめんね」

「急に何だよ」

「邪魔だと思ったら言ってね? その方が私も嬉しいから……」

「どうした? なんかあった?」



何があったんだろう。


自分でもよく分かってない。



「記憶…戻らないなら戻らないでいいのになって……」

「…………」



うーちゃんは何も言わずに頭を撫でてくれた。


気付けばそのまま眠ってしまった。