「ほら!テンプレ来たぞ!イケメン転校生!何あれ!?ホントに人なの!?顔整いすぎじゃね!?」

「ちょっ…揺らさないでえええ…は、吐くからあぁあああぁ…!」



先程からシーナに肩を揺らされ、中のものがリバース状態に持って行かれそうなのである。

朝食食いすぎたんだよ!何か文句あるんか!

やばい…もうさっき食ったおにぎり5個分が喉のとこまで差しかかってる…!



「リム!そこの席空けな!転校生の席だよ!」

「うえぇ?あぁ、うん。」



肩をパッと離され、助かったと安心したが、それも束の間に過ぎ去ってしまう。

ウチの学校は大学みたいに机が連なっていて、調度、私の隣に一人分座れるスペースがある。

まあ、つまり一番左端の席だ。

そのことを知っていたシーナにグワンと腕を持って行かれ、右に位置をずらされた。…は、いいが、今のグワンはかなりキツかった…。



「あなたの席はあそこよ。ちょっと黒板から遠くなるけど…あなた、視力の問題とかあるかしら?」

「うむ、大丈夫だ。視力は10以上ある。」

「そう、それなら……んん??」



二人の会話は聞き取れないけれど。

先生が何やら少し驚いた顔で、階段を登っていく転校生くんを視線で追いかけていたのだ。遠くからでもよく分かるほどに。

何があったんだろ?

とか疑問に思ったけど、転校生くんが近づいてくるのを見て、今の疑問のことなんか一瞬で忘れてしまう。