「自己紹介できるかしら?」
「うむ…。初めまして、ハクと言います。生まれてからこの学園に拾われるまでの記憶が綺麗さっぱり抜けてしまっているが、皆と仲良くできたら嬉しく思う。よろしくお願いします。」
ぺこりと会釈する転校生くん。
それすらもぎこちなさを感じてしまう。
「結構可愛い?」
「男で可愛いなんてねえだろ…。」
「やっぱ、男の子なの?あの子。」
と、まわりから様々な反応が見られるが、正直私は好奇心旺盛な性格で何でも深く考えてしまうめんどくさい女だ。
だからというわけではないと思うが、転校生くんの"記憶がない"発言は非常に私の心を揺さぶり、疑問でいっぱいにした。
そこで、私の人間観察機能が役に立つので、ある。
転校生___もといハクくんは所謂可愛い系として数えられるんじゃないかな?
琥珀色の瞳は少し大きくて、髪は黒色、バサついてる…というかくせっ毛で、少し大きめの帽子を頭に被せている。
右目に眼帯を付けているのは少しミステリアスを感じさせるけど…。
あれは、怪我の類い…いや、何か隠された力が…??
記憶がないことに何か関係があるのでは?
まあ、見て分かるように、私の妄想は破裂寸前の風船みたいに膨らんでいく。
あと一回でも空気を入れたら頭が破裂する。
そんな私のギリギリの容量を見事にショートさせたのは、私の隣の席で悶え苦しんでいたシーナだった。

