痛くて、苦しくて、また目を覚ます。
これで何度目の目覚めだろう?
けど、今日もまた目が覚めた。
少しばかり辛いけれど、また今日も許されていると思うとこの痛みも苦ではなくなる。

あの頃の、山を駆け巡り無邪気に走っていた僕。
思い出してしまったのは、森の中で眠る夢を見たからだろうか?
もう森へ入ることなどできないのに、なぜあんな夢を見てしたったのだろう。
いつもとは違う痛みが胸をさす。
些細な痛みと共に想いは溢れ出してくる。
嗚呼、神様。
叶わぬ願いとは分かっているけれど。

「どうか、もう一度あの森を見たかったな」


少年はあの森へと還りたかった。


森愛病
臓器のいずれかから芽が芽吹き、木へと成長してしまう奇病。
宿主から栄養を奪うため、患者の体は成長しない。
成長した大木は宿主の死とともに綺麗な花を咲かせ朽ちていく。