『ふっ…ううっ、ぐすっ』
誰かの鳴き声がする。
部屋の隅の…押し入れ…から?
いや、そんな訳ないだって…だって、あの押し入れは……
子供1人も入れないようになってあるんだから。
でも、気になってそこを覗いてみると、前髪が異常に長い女の子がにたぁっと笑って、こっちを見ていた…

「いやぁぁ!!こっわい!何これ!岬ぃぃ」
「ははっ!これはまだマシなほーだって!女の子覗いてるだけじゃん。もっと怖い話してやろうか?だったら…」
「いっ、いいっ!やめて!」
こんな意地悪な事言ってくるのは、私、朝倉 優愛(高2)の彼氏、加藤 岬(高3)。
1年の時、この部活の体験に来て、先輩に一目惚れ、部活に入り、告白!そしてOKしてもらったのはつい先週の事。
何でこんなに時間かかったかって?
それはね〜、私がずっと告白してるのにずっと断られてたから!何度も粘って告白したら、遂に!遂にOK!(←二回目だって)
まあ、そんなことはおいといて、実をいうと私ホラー大っ嫌いなのよね。
だけど岬のために頑張ってホラー強くなろーと思って、毎日1回映画を見せてもらってる、はずなんだけど…一向に慣れる様子は無く、むしろトラウマになりそうなの……ってことで、今日は岬に質問だーい!
「岬ー!何で怖いのそんな好きなの?」
ホントに理解し難いわ……
「ん、なんでだろうな?わかんねぇわ笑
あ、それよりさ、優愛お前これ家で見とけー!」
ん?なんだろ……ってこれ
「ホラー映画じゃん!」
これを1人で家で見ろと?私の彼氏はそう仰るのですか…。
「コレ見て、友達と一緒にこれと同じように、してみてな!よろしく〜。まっ、優愛の弱虫加減が拝見できるかなぁぁ〜?」
くっそぉ!馬鹿にしてぇぇぇぇ!絶対見てやる!友達誘って一緒にこれ通りにしてやる!
「おっ、覚えてろぉ!」
「はっはっー!」
ピシャン!
この時私はまだ気づいてなかった、これから私の人生が狂わされようとするだなんて…