「らっしゃいー!」
「パダ、しい連れてきたんか。珍しいな。まあ、食ってけや。」
「ヒヤクさんの奢りっすか?」
あれ?…パダが奢るって言ったのに。
「ま、たまにはいっかな。」
いいんかい。

ヒヤクは、人情に厚いヤンキーといった感じの人だった。

「しい。ロクは?なんで1人なの?」

「あー。ヨヨに追い出された?相変わらずめちゃくちゃな奴だな。」
「俺も、ぶっちゃけ、ヨヨ怖いっす。」
「まぁ、内田来る前に帰って良かったんじゃね?あいつら2人揃うとうるささが2倍になるし。」
「しいのプリクラ帳、何気にヨヨと内田だらけでウケるんスよ。」
「まじで!見せろ。別に見たくないけど、見せろ。うわ〜〜。」

ヒヤクは、ロクの姉のヨヨと同じ学年だった。

「ま、あいつは、看護師目指して頑張ってるから、偉い。俺は、頑張ってる奴の文句は言わねぇ。」
「かっこいいっす。ヒヤクさん。」
「茶化すな、パダ。ところでしい、お前、高3だろ?大学行くの?働くの?」
「俺もそれ聞いてみたかったんだよね。」

「俺らは、中学出て働くしかなかったけど、しいは違うんだろ?夢とかあんの?」

夢…あるよ。
でも、お前にそれできんの?
出来るはずねーじゃんって一蹴されないかな。
私なんかがって、思われないかな。
だからって、ない。って嘘つきたくないな。

「夢、あんの?」
うなづく。

「いいじゃん。無理に聞かねーけど、言いたくなったら、言えよな。」