「ベットはここにしかないんだから、ここで寝るだろ…お前はバカなのか?」



だよね…

そうだよね…


とりあえず、寝るまでは考えないことにして、リビングに戻る。



大きいソファに禅がどかっと座る。



私はどこに…



「お前も座れば?」


そっぽを向きながらも、隣を開けてくれていた。


禅のとなり…



ドキドキがバレないように、ゆっくりと隅っこに腰掛ける。



この時私は、少し寂しくなっていた。


禅が私の事をお前としか呼ばないから…



「ね、ねぇ…」



「…なんだよ…」


疲れていたのか、禅は少し目をつぶっていたらしい。



「あ、ごめんなさい…」



「なんだよ…気になんだろ?
お前がなにか言いかけたんだから、最後まで言えよ…」



「そ、それ!!」


「はぁ?」


まあ、それって言われたって、意味わかんないよね…



「そのお前って呼ぶの…


私には藍羅っていう名前があるんだから、名前で呼んでほしい…な…」


勢いで言ってしまったけど、最後の方は少し怖くなって、恐る恐る禅を見ながら言った。



「あ、あぁ…藍羅な…」



そう言いながら、禅は顔を真っ赤にしていた。


一切こっちを見てくれない…


「…つもりかよ…」


「えっ?」



ボソッと何かを言ったけど、私には聞き取れなかった。



なんて言ったの?と聞いても教えてくれなかった。