その日の帰り道…。
「俺、あの月城飛鳥って、気に入らねぇーな。」
仁が、道ばたに落ちている缶を蹴りながら言う。
「なんでよ。」
マリアが聞き返す。
「だってよ〜。キザだし、女子にはモテるし、頭もいいし…。」
「なぁんだ。単なるひがみね。」
マリアが冷たく言う。
ひろしとクッキーは、笑ってしまった。
「うっせーな〜。あ〜あ、また1学期間、俺には地獄だぜ。……それより、クッキーあいつには気をつけろよ。あーゆー男が危ないんだぞ。」
「何言ってんのよ。一番危ないのは、仁、あなたでしょ。」
そっぽを見ながら、マリアが言った。
「あ〜、いちいちうるせぇ女だな。」
そう言って道の真ん中で、2人のケンカが始まってしまった。
残された2人はただ呆然と見つめていたが、クッキーが口を開いた。
「ねぇ、ひろし君。月城君ってどういう人?」
クッキーは、隣に立っているひろしに聞いた。
「どういう人って言われても、まぁ、見ての通りだと思うよ。男子にも女子にも人気があって、信頼も出来る奴だよ。」
「ふ〜ん。」
クッキーは、さっき自分の席の隣で微笑んでる飛鳥の顔を思い浮かべた。
「それよりクッキー、早く帰ろう。こんなとこで、道草なんかしてちゃダメだよ。」
「そうだね。」
2人は、まだ道の真ん中でケンカをしている仁とマリアをおいて、スタスタと行ってしまった。
おいていかれた2人のケンカが終わったのは、それから5分後のことだった。