この話は、まだクッキーこと栗木容子と月城飛鳥が4年生の時の話である。
クッキーはこの春、陽昇町に越してきた転入生だった。
しかし、この町が初めてと言うわけではなく、幼稚園の年長までいて、小学校入学と同時に父親の転勤で東京に行ってしまい、またこの町に戻って来たのである。

4年生となって初めて登校する日、クッキーは胸をドキドキさせて歩いていると、後ろからポンと肩を叩かれた。
クッキーが、えっと思い後ろを振り向くと、そこには懐かしい顔があった。
「ひろし君‼︎」
「クッキー、戻って来たんだね。」
「うん!また、よろしくね。」
ひろしは、微笑んでうなずいた。
「だけど、クッキー…。あんまり背が伸びてないね。」
少しムッとして、クッキーが言う。
「これでも、伸びてるんだから〜!」
クッキーは、ちょっと怒りながらスタスタと歩いて行った。
ひろしは慌てふためきながら、クッキーの後を追った。
「ごめん、このとおり…。許して……。」
クッキーは、一生懸命謝っているひろしを片目でチラッと見て、クスクスと笑いだした。
「全然、怒ってないよ〜」
そう言うと、2人は顔を見合わせて大笑いをした。
「それはそうと…、クッキー、何組になったの?」
「確か、1組。」
「じゃあ、同じクラスだ。」
「ほんと!よかったぁ。」
「他にも、幼稚園の時一緒だった、仁、マリアも同じクラスだよ。」
「なんか、安心しちゃった。……あっと急がないと遅刻しちゃう〜」