キーンコーンカーンコーン…

___昼休み


「はぁ………」

不意にこぼれるため息。

「ちょっと!どうしたのため息なんかついて!らしくない!」

そう話しかけてきたのは中学校からの付き合いの 如月 桃華 (きさらぎ ももか)。

桃華は私の良き理解者であり、私の憧れ。
今すぐにでも溶けてしまいそうな肌の白さ、目はパッチリと開いていてぷっくりと可愛い唇。見た目とは裏腹、実は頼りがいのあるお姉ちゃんキャラ。

「桃華ぁ〜〜〜、」

いつも私が落ち込んでいると 必ず話しかけてきてくれる。

「どうしたの、香」

「あのね、実はね…」

私は今日の朝起きたことを全て話した。

「何それぇ!超青春って感じじゃない!?!?
ちょっと、香、その人狙いなよ〜」

と、楽しそうに話す桃華。
他人事だと思って。
こう見えても私、恋愛初心者なんです。
残念ながら。でも、なんか恋ではない何か、こう、引っかかる感じ。

「だって香 可愛いし絶対いけるって〜」

どこから湧いてくるその自信。

「私が桃華みたいな容姿だったら告ってたかもね~」
ちょっと嫌味ったらしく言ってみた。

「何言ってんの!香スタイル良いし、顔も整っててあたしなんかより全然綺麗だよ!!」

はい、それ聞き飽きた。
いつも私を慰める時のお決まり用語。

「ただ背がでかいだけだって〜」

そうです私168cmあります。
コンプレックスです…。

「あたしは羨ましいよ?香のそのスタイル…」

あ〜ぁ、桃華ちゃんしょげちゃった。
可愛いからしょうがない、引き下がろう。

「お世辞でも嬉しいよありがとう」

「お世辞じゃないけどね♡ で、その人は何組の人なの??」

いきなり話を戻すのも桃華の得意技。

「何年生かすらも分からないから困ってるんだぁ〜〜〜」

「はぁ!?!?ネクタイの色見なかったの!?!?」

桃華は中学の頃、若干ヤンキーの血が混ざっていたのでたまに口調が怖め。


「…かっこよすぎて見てる暇なかったし、私すぐ逃げちゃった。」

「じゃ、今から探しに行こ」

「……え?」

私は言われるがまま、桃華に手を取られ教室を後にした。



何か大事なことを忘れたまんま…。