「黒瀬もしんどいでしょ?

好きな人の好きな人になれないこと。



でもね、そんなときは自分のこと好きな人を見つけたらいいの

人に好かれてるってだけで好きって告白されるだけで心が軽くなるから




…なんてね」





「…」


俺が喋れなかったのは呆れたからとか、ドン引いたからとかじゃない


泣いてる桃原に言葉を失ってただけ



泣くほど想われる奏がどれほど羨ましいか




「ごめんね、最低だよね」


呆れるでしょって小さく呟いた





「あのさー



そんなんで桃原が軽くなるなら何回でも言うよ

俺は桃原が好きだ」




「え?」

桃原と奏は似てる


まわりをよく見てるとことか、嘘が上手なとことか


その嘘はだれかのための嘘なとことか



今のはほとんどが俺を諦めさせるための嘘だ



でも少しはほんとに軽くなるんだろう

だから

「ごめん、しつこいけど諦められないんだよ」



俺は君の嘘に絶対気づいてやる

そしてもう君に損はさせない


「でも私、その好意を三浦を好きでいる原動力に使うんだよ?」



「いいよ、好きなだけ」


「でも!」「桃原にもうほんとにやめてって言われない限りは諦めない」