「あ、それ俺も聞いた。ひなたやばいんじゃね?」




服を着ながら俺達の話を聞いていた祐翔は暢気な音色で俺に問いかける。



んー。なかなか面倒臭い事になった。



東中の近藤――――――歳は俺と同じで13歳。中1。そんな近藤と俺は所謂、犬猿の仲ってやつで、今回近藤が入院することになったのも俺との喧嘩で大怪我をしたからだ。



「退院したなら絶対また来るな、あいつ」



ハハハ、と爽やかに笑った仁を睨む。




「やめよろ縁起でもねぇ。めんどくせえんだぞ!」

「知らねえよ。お前がそんな野郎に付き合ってんだから仕方ねえだろ?近藤はなかなかしつこいヤツだぜ?」

「テメエがそれを言うかっ!」



元はといえば、俺と近藤が初めて喧嘩した原因を作ったのは仁だっつうのに!



入学式の日、いきなり入学祝いだなんだと訳の分からんことをぬかした仁は東中の校門前まで俺を連れていった。一体なにをするんだろうと考えてた俺。今思えば呑気すぎる。



そして「東中ぶっ殺す!!」そういきなり叫んだ仁はダッシュで逃げ、
それを聞いた東の連中は、校門前で佇む俺めがけてバットを投げてきたのだ。それがゴングとなり、流れゆくままに喧嘩をして、最後に出てきたのが近藤で、それから始まった。



―――そう。全ての原因は仁だ。




「テメエが入学祝いだとかぬかした所為だろ!」

「ええっ!俺かよ!」

「当たり前だろうが!」



白々しい態度をとる仁を睨み、また煙草に火をつける。



まじでふざけんじゃねえよ。そら、あれ以降に関しては俺も負ければ仕返しにいったりはしたけどさ!原因は仁なのに俺は関係ないみたいな態度には腹が立つ。



全部仁が悪いとは思わねえけどよ。



「いやん、ひなちゃんこんわいっ」



......前言撤回。やっぱり全部こいつが悪い。