降り続ける雨は止まないのに、雲の間からは微かな光が漏れる変な空だった。




そんな夕方の空をぼんやり自分の部屋から見つめながら、やっぱり考えてしまうのは日咲のこと。




俺は、日咲に会ってはいけなかったんだ……。


そう自覚してしまうほど、俺の頭の中には日咲の笑顔が浮かんでしまう。




それでも、この笑顔が頭から消えてしまわない間に日咲に会いたい……。




頭の中が矛盾で一杯だ。




「雨音っ。客」



部屋のドアを叩くのと同時に、ぶっきらぼうな陽光の声が聞こえた。




客の対応ぐらい自分ですれば良いのに……。



ドアの前ですれ違った陽光は、憎らしげな微笑みを浮かべこちらを見ている。



「ほらっ」



そして何故か、手に持っていたタオルを半ば無理矢理俺の手の中にねじ込んできた。




タオルまで用意してるなら自分で対応すれば良いのに……。




不満げな顔のまま降りた玄関には、



「雨音っ」



思いがけない人物が立っていた。