ついた場所は一つの館

ゾクッと寒気がして倒れそうになる
両手で肩を掴み力を入れて震えをおさめようとする
『やめるか?』
クロウの低い声に俺はにやりと笑みを浮かべた

「やめる?そんなわけないだろ
俺がなんのために生きたと思ってるんだ」

『ふ、それでこそ我が主』

「主だなんて思ってもないくせによく言うよ」


クロウは屋根の上に足を下ろした

「ピッキングだな」

2階の窓縁に飛び降りカチカチと針金であける

細かい作業は得意だ
ゴ主人サマのおかげだな

ふっと微笑むと
窓の鍵がカチャンと小さな音を立てて開く