いきなり話を本題に戻した恵。



拓海と大野が仲良くしてたら...か。


そういえば俺は、あの時どう思ったんだろう。


拓海と大野が出かけた日のことを、拓海の口からきいていた時。



「腹立つ...?」


「へえ、正直だね」



少し目を見開いて恵がつぶやく。



「慎也は知らないみたいだから教えてあげる。

好きなやつが別の奴と一緒にいるのを知ったとき、腹が立ったりモヤモヤする感情は、“嫉妬”だよ。」



「嫉妬...」



恵が言った言葉を口の中で繰り返す。


嫉妬。


言葉なら知っていた。


意味も。


でも、それはただの用語として知っていただけで、自分とつなげることはなかった。



「嫉妬ってこんな感じなんだな」



微かに早くなった心臓に手を当ててつぶやく。



「ふふ、そうだよ~?
やっと俺の気持ちがわかったか!」


「...ああ」


「なんか正直なお前、ちょっとキモイ」


「ああ?」


「怒るなよ~」


「怒るだろ!」



前とは少し違った俺と恵の会話。


今は、それもいいかと思える。