ミンジュンは先に詠美を部屋へ戻し、他のスタッフと明日以降の話をしていた。
ミンジュンが顔を出さなきゃならない大切な要件だけをピックアップし、後は全てカンジノに任せる旨を皆に伝える。


「明日、俺はフリーにするから。それと、詠美も明日は休ませる」


カンジノがわざとらしくため息をついた。


「なあ、ミンジュン、俺達はあの日本人の通訳をどう扱えばいいんだ?

惚れたんなら惚れたで、お前の彼女として扱うけど、それでいいか?」


カンジノは唯一ミンジュンが心を許せる人間だ。
子供の時からのつき合いで、何度もケンカをしてお互いの弱い部分をさらけ出し信頼関係を築いてきた。
でも、そんなカンジノでさえ、今回のミンジュンの行動を理解できずにいる。
人間嫌いのミンジュンが、いきなり自分の部屋に見ず知らずの女性を泊めるなんて前代未聞の事だった。


「彼女とかそんなんじゃない。
ただの通訳だ」


ミンジュンは明らかに機嫌が悪い顔をして、他のスタッフに威圧的な態度を取っている事は自覚していた。
でも、ジノの質問がすごくムカついたし、何て答えていいか分からない自分がとにかく歯がゆかった。
でも、だからといって、詠美を家に帰す気はさらさらない。


「じゃ、部屋に帰るから。
何かあったらメッセージでくれ」