詠美はミンジュンの部屋に完備されている会議室に入ると、ミンジュンの会社のスタッフがズラッと座っていた。
詠美を見るなり、リーダー格のイケメンが韓国語でベラベラ喋り出した。
詠美はその早口の韓国語を聞き取るのに神経を集中させる。
しばらく経った頃、詠美はミンジュンがいない事に気が付いた。
「あのミンジュンさんは?」
隣に座るスタッフに何げなくそう聞いてみると、その質問を聞いていたリーダー格のイケメンが大きな声で答えてくれた。
「ミンジュンは自分達に全ての仕事は一任してくれている。
彼は、短期間で死ぬほど働いて、億万長者になった。
今は、そのお金を転がしてるだけ。
俺達はその大切なお金をより良い方向に動かすのが仕事なんです。
あ、自分はカンジノと言います。
よろしく、エミ」
カンジノはそう言うと、ニコッと笑ってくれた。
詠美はカンジノの詠美の発音が正しいと思っていた。
韓国の人は伸ばす発音が苦手だ。
だからエーミとかエイミーとかは言いづらいはずで、エミとなってしまうのはとても理解できる。
じゃ、ミンジュンは何でエイミーと呼ぶのだろう?
別に詠美でもエイミーでもエミでもどちらでも構わないけれど、ミンジュンのこだわりに少しだけ興味があった。



